冷凍うどんはなぜコシが落ちない?麺類の急速冷凍に必要な条件をスパイラルフリーザー専門業者が解説

はじめに

「自社でも冷凍うどんや冷凍麺の製造ラインを立ち上げたいが、茹でたてのコシを保てるのか不安」「凍結工程を内製化したいが、どんな設備が必要か分からない」——麺類の冷凍事業を検討する食品工場様から、こうしたご相談をいただくこともございます。


共働き世帯の増加や中食需要の高まりを背景に、冷凍麺の市場は拡大を続けています。スーパーやコンビニの冷凍食品売り場では、冷凍うどん・冷凍パスタ・冷凍ラーメンが定番の座を占め、「冷凍麺は茹でたてに近い」と評価されるほど品質が向上しました。その背景にあるのが、急速冷凍技術の進化です。


本記事では、香川県観音寺市でスパイラルフリーザーの設計・製作・施工を一貫して手がける株式会社高岡冷機が、麺類の急速冷凍に必要な条件と、凍結ラインづくりのポイントを解説します。



冷凍うどんの「コシ」を決めるのは凍結スピード

茹でたてのうどんが持つ独特のコシと粘り。これを冷凍後も保てるかどうかは、茹で上げから凍結完了までのスピードでほぼ決まります。


デンプンの老化は0〜5℃付近で最も進む

うどんのコシは、小麦粉のグルテンが作る網目構造と、茹でることで糊化(α化)したデンプンによって生まれます。しかし糊化したデンプンは、時間の経過とともに水分を吐き出し、硬くパサついた状態へ戻っていきます。これがデンプンの「老化(β化)」です。


デンプンの老化は、0〜5℃前後の低温帯で最も速く進行することが知られています。つまり、茹でた麺をゆっくり冷やすことは、老化が最も進みやすい温度帯に麺を長時間さらすことを意味します。冷蔵保存したうどんが翌日には食感を失っているのは、このためです。


急速冷凍であれば、老化が進む温度帯を短時間で通り抜け、デンプンが水分を抱え込んだα化状態のまま凍結できます。解凍・再加熱したときに茹でたてに近い食感が戻るのは、この状態をそのまま保存できているからです。



最大氷結晶生成帯を素早く通過させる

もうひとつの鍵が食品中の水分が氷に変わるマイナス1〜マイナス5℃の「最大氷結晶生成帯」です。この温度帯をゆっくり通過すると氷結晶が大きく成長し、グルテンの網目構造やデンプン粒を内側から壊してしまいます。


組織が壊れた麺は解凍時に水分を保持できず、コシのないやわらかい食感になってしまいます。逆に、急速冷凍で氷結晶を微細に抑えれば、組織へのダメージを最小限にとどめられます。氷結晶と品質の関係は冷凍ドリップと氷結晶の解説記事でも詳しく取り上げています。


うどん以外の麺でも原理は同じ

この原理はうどんに限りません。パスタはアルデンテの歯ごたえ、中華麺はかんすい由来の弾力、そばは風味と切れやすさへの配慮と、麺ごとに守りたい品質は異なりますが、いずれも「α化状態の保持」と「氷結晶の微細化」という同じ土台の上に成り立ちます。麺の太さや水分量によって最適な凍結時間・風速は変わるため、主力製品に合わせた条件設計が重要です。



麺類の凍結ラインで起こりやすい3つの課題

原理はシンプルですが、実際の製造ラインで大量の麺を安定して急速冷凍するには、麺類ならではの課題を乗り越える必要があります。


課題1:茹でたて・水締め直後の麺は凍結負荷が大きい

うどんは茹で上げ後に冷水で締める工程を挟みますが、それでも凍結開始時点の品温は高めになりがちです。さらに、表面に付着した水分も一緒に凍らせる必要があるため、麺類は見た目以上に凍結負荷の大きい食品です。


処理量に対して能力の足りないフリーザーでは、庫内温度が上がって凍結時間が延び、前述の老化や氷結晶の問題がそのまま品質低下につながります。投入時の品温と処理量を前提にした冷却能力の設計が欠かせません。


課題2:麺同士の付着・ベルトへの張り付き

表面水分の多い麺は、凍結中に麺同士がくっついたり、コンベアベルトに張り付いたりしやすい食品です。玉取りしたうどんの形が崩れれば商品価値が下がり、ベルトへの張り付きは歩留まりの低下や清掃負荷の増加を招きます。


ベルトの材質・メッシュ形状の選定や、風の当て方の設計によって、こうしたトラブルは大きく減らせます。製品に合わせた仕様の作り込みが、麺類ラインの成否を分けるポイントです。


課題3:生産量と設置スペースの両立

麺類は1食あたりの単価が比較的低いため、事業として成立させるには時間あたりの処理量をしっかり確保する必要があります。しかし、大量の麺に十分な凍結時間を与えようとすると、直線型のフリーザーでは長大な設置スペースが必要になり、既存工場には収まらないケースが少なくありません。


また、将来の増産を見込んで大きめの設備を選ぶべきか、現状の生産量に合わせるべきかという「処理量の決め方」も悩みどころです。選定の考え方は処理量別の選定基準の解説記事で詳しく解説しています。



麺類の急速冷凍にスパイラルフリーザーが選ばれる理由

こうした課題への答えとして、冷凍麺の製造現場で広く採用されているのがスパイラルフリーザーです。らせん状のコンベアで製品を搬送しながら凍結するため、長い凍結時間を確保しつつ、設置面積はコンパクトに抑えられます。


高岡冷機のスパイラルフリーザーは、処理量400Kg/Hから6,000Kg/Hまで、生産計画に合わせた設計が可能です。工場のレイアウトに合わせて入口・出口の位置を調整できる設計にも対応しており、既存の茹で工程と包装工程の間に組み込む形での導入もご相談いただけます。


また、デンプン質を扱う麺類のラインでは、ベルトや庫内の衛生管理も重要です。洗浄性に配慮したサニタリー設計や、CIP洗浄(定置洗浄)の組み込みなど、HACCP対応を見据えた仕様もご提案しています。


麺類の凍結ラインを検討する際は、次のポイントを整理しておくと打ち合わせがスムーズです。


  • 1時間あたりの生産量(現状と将来計画)
  • 茹で上げ・水締め後の麺の品温
  • 玉物か、ほぐし麺か、トレー入りかといった製品形態
  • 設置予定スペースと搬入経路
  • 洗浄・衛生管理の運用ルール


同じデンプン系食品である米飯の凍結については、冷凍ご飯・チャーハンの急速冷凍の解説記事もあわせてご覧ください。



まとめ


冷凍うどん・冷凍麺のコシを守る条件は、デンプンの老化が進む温度帯と最大氷結晶生成帯を、いかに速く通過させるかに尽きます。そのためには、麺の品温と処理量に見合った冷却能力、そして付着・張り付きを防ぐ製品に合わせた設計が必要です。


麺類の凍結ラインは、機械のカタログスペックだけでなく、製品と工程に合わせた作り込みで品質が決まります。


株式会社高岡冷機は、うどん県・香川で50年以上にわたり冷凍設備を手がけてきた専門業者として、設計から製作・施工・メンテナンスまで一貫対応しています。冷凍麺事業の立ち上げや凍結ラインの増強をご検討の際は、お気軽にご相談ください。


お問い合わせはこちら