スパイラルフリーザーの導入を検討し始めると、メーカーから「機械式」や「液体窒素式」など、専門的な「冷却方式」が提案されます。「どちらの方式が自社に適しているのか?」「そもそも何が違うのか?」と悩まれる担当者様も少なくありません。
この「冷却方式」の選択は、「スパイラルフリーザー」導入後のランニングコスト、製品品質、さらには工場の安全性にまで直結する、非常に重要な分岐点です。しかし、その違いは専門的で分かりにくいのも事実です。
本記事では、「スパイラルフリーザー」で採用される主要な2つの冷却方式、「機械式」と「液体窒素式」を徹底的に比較し、貴社に最適な「スパイラルフリーザー」を選ぶための知識を専門家の視点で解説します。
大多数のスパイラルフリーザーが採用する「機械式冷凍(エアブラスト方式)」とは

「機械式冷凍」は、現在稼働している業務用スパイラルフリーザーの大多数で採用されている、最もスタンダードで実績のある冷却方式です。
構造と仕組み
「機械式」とは、コンプレッサー(圧縮機)、凝縮器、膨張弁、そして冷却器(ユニットクーラー)という4つの主要機器で構成される「冷凍サイクル」を利用する方式です。工場やご家庭のエアコンと基本原理は同じで、冷媒(フロン、アンモニア、CO2など)をシステム内で繰り返し循環・気化させることで冷気を作り出します。そして、その冷気をスパイラルフリーザー庫内の強力なファンで製品に吹き付ける(=エアブラスト)ことで、急速冷凍を行います。
メリット
圧倒的なランニングコストの安さ
最大のメリットは、運用コストの安さです。初期投資こそかかりますが、必要なランニングコストは主に電気代のみです。後述する液体窒素方式のように、冷媒自体を消費し続ける必要がないため、大量生産を行う工場ほど、その経済的メリットは計り知れません。
技術の成熟と安定性
非常に長い歴史と実績を持つ技術であり、システムとして成熟しています。そのため、安定した運用が可能で、メンテナンス体制も確立されています。
環境性能の向上(自然冷媒)
近年では、従来のフロン系冷媒ではなく、CO2(二酸化炭素)やアンモニアといった「自然冷媒」を使用する高効率なスパイラルフリーザーが主流となっています。これにより、環境負荷を最小限に抑えつつ、高いエネルギー効率を実現できます。
デメリット(注意点)
初期費用(設備投資)の高さ
コンプレッサーや大型の冷却器、配管など、システム全体が大掛かりになるため、液体窒素方式のスパイラルフリーザーと比較して、導入時の初期費用は高額になる傾向があります。
凍結スピード
マイナス40℃前後の冷風で冷却するため、マイナス196℃の液体窒素に比べると、凍結スピードそのものは穏やかになります。(とはいえ、高品質な急速冷凍を実現するには十分な速度です)
超急速冷凍を実現する「液体窒素式(LN2)スパイラルフリーザー」とは

「液体窒素式」は、マイナス196℃という超低温の液体窒素(LN2)を冷熱源として利用する冷却方式です。
構造と仕組み
この方式のスパイラルフリーザーは、冷凍サイクルを持ちません。その代わり、工場に設置された液体窒素の貯蔵タンク(CEタンク)から庫内へ直接、液体窒素を噴射します。液体窒素が気化する際に周囲から膨大な熱を奪うエネルギーを利用し、スパイラルフリーザー庫内の製品を文字通り「瞬間的」に凍結させます。
メリット
圧倒的な凍結スピード
最大のメリットは、その驚異的な凍結スピードです。超低温で瞬時に凍結させるため、食品の細胞破壊を最小限に抑え、ドリップの流出を防ぎ、最高レベルの冷凍品質を実現できる可能性があります。
初期費用の安さ
冷凍サイクル一式が不要で、スパイラルフリーザー本体の構造が比較的シンプルなため、機械式に比べて導入時の初期費用は安価な場合があります。
デメリット(注意点)
ランニングコストが非常に高い
これが最大のデメリットです。冷凍を行うたびに、噴射した液体窒素を「消費」し続けます。つまり、電気代とは別に、高価な液体窒素を継続的に購入し続ける費用が発生し、生産量に比例してランニングコストは青天井に上昇します。
別途の設備と安全管理
液体窒素を貯蔵するための大型タンク(CEタンク)を工場敷地内に別途設置する必要があります。また、液体窒素の使用には酸欠事故のリスクが伴うため、作業員の安全を守るための厳重な安全管理体制(酸素濃度計の設置や強制換気など)が不可欠です。
比較表:自社に最適な「スパイラルフリーザー」の冷却方式はどっち?
両者の違いを一覧表で比較してみましょう。

結論:「スパイラルフリーザー」選びは「TCO(総所有コスト)」で判断を

両者を比較すると、明確な特性の違いが見えてきます。
液体窒素式スパイラルフリーザーが適する場合
初期費用を抑えたい、かつ、生産量は少ないが(ランニングコストを吸収できる)、製品単価が非常に高い(例:医療品、高級食材、特殊な研究用サンプル)など、極めて限定的な用途。
機械式スパイラルフリーザーが適する場合
食品の大量生産を行う、ほとんどすべての食品工場。初期投資はかかりますが、日々のランニングコストが圧倒的に安いため、事業を継続すればするほどトータルコストは逆転します。
結論として、一般的な食品工場の経営において、長期的な視点(TCO:総所有コスト)で判断した場合、経済合理性に優れる「機械式スパイラルフリーザー」が最適な選択肢と言えるでしょう。
高効率な「機械式スパイラルフリーザー」なら高岡冷機へ

私たち高岡冷機は、ランニングコストと環境性能に優れた「機械式スパイラルフリーザー」の専門家です。
特に、今後の主流となるCO2(二酸化炭素)などの「自然冷媒」を用いた高効率冷凍システムと、「スパイラルフリーザー」を組み合わせたご提案には豊富な実績とノウハウがございます。お客様の生産量や製品特性に合わせ、最適なランニングコストを試算し、長期的な利益に貢献するスパイラルフリーザーをご提案します。
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