はじめに
「スパイラルフリーザーの導入を検討しているが、何Kg/Hの機種を選べばいいか分からない」「今の生産量には合っているが、増産したときに対応できるか不安」「処理量が大きすぎると無駄になるのでは?」——スパイラルフリーザーの導入を初めて検討する担当者から、こうした疑問をよく聞きます。
処理量(Kg/H)の選定はスパイラルフリーザー導入における最も重要な意思決定の一つです。小さすぎれば生産計画を達成できず、大きすぎれば設備コストと運用コストが無駄になります。
今回は、400Kg/Hから6,000Kg/Hまで幅広い処理量の施工実績を持つ株式会社高岡冷機が、生産量別の処理量選定基準と、よくある失敗を防ぐためのポイントを解説します。
処理量(Kg/H)とは何か

スパイラルフリーザーの処理量とは、1時間あたりに凍結できる製品の重量(Kg)を指します。たとえば「処理量1,000Kg/H」とは、1時間に1,000Kgの製品を所定の温度まで凍結できる能力を意味します。
ただし処理量は製品の種類・形状・投入温度・目標凍結温度によって変動します。カタログに記載された処理量はあくまで標準条件下での数値であり、実際の製品に合わせた能力確認が必要です。処理量の算出は、メーカーや専門業者に製品仕様と生産計画を伝えた上で行うことを強くおすすめします。
処理量の算出に必要な3つの情報

処理量を正しく算出するためには、次の3つの情報が必要です。
①1時間あたりの生産目標(Kg/H)
1日の生産量(Kg)を稼働時間(H)で割った値が基本となります。ただし生産ラインは常に一定ペースで動くわけではなく、段取り替えや清掃のダウンタイムがあるため、実質稼働時間をもとに計算することが重要です。
②製品の投入温度
焼き立て・揚げたてをそのまま投入する「ホットイン」の場合と、常温・予冷後に投入する場合では、凍結に必要な熱量(冷凍負荷)が大きく異なります。投入温度が高いほど、同じ処理量でも冷凍機の能力を大きくする必要があります。
③目標凍結温度と凍結時間
「中心温度-18℃以下」など、法規制や社内基準で定められた凍結温度があります。また製品によって「急速凍結(短時間)」が必要なものと、「緩慢凍結(長時間)」が適しているものがあり、凍結時間の設計が処理量に直接影響します。
生産規模別の処理量目安と設備構成

高岡冷機のこれまでの施工実績をもとに、生産規模別の処理量と設備構成の目安をご紹介します。
小規模ライン:400〜800Kg/H
中小規模の食品工場や、特定アイテムに特化した単品ラインに多い構成です。シングルタワーのスパイラルフリーザー1基で対応できるケースがほとんどで、設置スペースを抑えながら効率的な凍結が可能です。高岡冷機の実績では、カキフライ・白身魚フライ・ホイップクリームなど比較的処理量の小さい製品ラインでこの規模が多くなっています。
中規模ライン:1,000〜2,000Kg/H
複数アイテムを同一ラインで処理する工場や、量産体制を整えた専業メーカーに多い構成です。シングルの大型機またはツインタワー構成で対応します。餃子・トンカツ・メンチカツ・コロッケなど主力の冷凍惣菜品目でこの規模が最も多く、高岡冷機の施工実績でも中心となる処理量帯です。
大規模ライン:2,000Kg/H以上
大手食品メーカーや、全国流通を前提とした大量生産ラインに対応する構成です。ツインタワーや複数基設置が前提となります。高岡冷機の実績では、コロッケ凍結で2,160Kg/H・3,000Kg/H・6,000Kg/Hといった大型ラインの施工実績があります。6,000Kg/Hは1基で大量のコロッケを凍結する国内でも規模の大きい案件です。
処理量選定でよくある3つの失敗

スパイラルフリーザーの処理量選定で、現場で多く見られる失敗パターンを3つ紹介します。
失敗①:現状の生産量ぴったりで選んでしまう
今の生産量に合わせて処理量を選定すると、増産や新アイテム追加の際に設備が追いつかなくなります。将来の生産計画(3〜5年後のピーク量)を見込んだ上で、余裕を持ったサイジングをすることが重要です。
失敗②:ホットインを考慮しないで選ぶ
カタログスペックの処理量は常温投入を前提にしている場合が多く、ホットイン運転では実際の処理量がカタログ値を下回ることがあります。投入温度を具体的に伝えた上で、ホットイン条件下での処理量を確認することが必要です。
失敗③:複数アイテムを想定しない
将来的に複数の製品を同じラインで凍結する可能性がある場合、製品ごとに必要な凍結時間や投入温度が異なるため、最も条件が厳しいアイテムをもとにサイジングする必要があります。後から「このアイテムには処理量が足りない」となるのが最も多い失敗パターンです。
処理量以外に確認すべき設備スペック
スパイラルフリーザーの選定では処理量だけでなく、以下のスペックも合わせて確認することが重要です。
- 庫内温度の設定範囲:製品の目標凍結温度に対応しているか。
- ベルト有効幅:製品のサイズや並べ方に対応できるか。
- ベルト全長:凍結時間を確保できる十分な長さがあるか。
- CIP洗浄・蒸気殺菌への対応:製品の衛生管理基準に対応できるか。
- 設置スペース(フットプリント・天井高):工場の建屋制約に収まるか。
まとめ

スパイラルフリーザーの処理量選定は、現状の生産量だけでなく、将来の増産計画・製品の投入温度・複数アイテムへの対応を総合的に考慮した上で行うことが重要です。カタログスペックの数字だけで判断せず、製品仕様と生産計画を専門業者に伝えた上で、実態に即した能力確認を行うことをおすすめします。
株式会社高岡冷機は、香川県観音寺市を拠点に、400Kg/Hから6,000Kg/Hまで幅広い処理量のスパイラルフリーザーを設計・製作・施工・試運転から一貫して対応しています。処理量の選定段階からご相談をお受けしていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

